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guntû
「せとうち、漂泊。」
ガンツウは、広島県尾道市にある母港を出発し、最西部は山口県上関沖から、最東部は香川県小豆島沖までゆっくりと瀬戸内海を周遊します。季節ごとに移ろいゆく瀬戸内海の風景と一体となり、ただ過ぎゆく時を愉しむ穏やかな船旅です。
「ガンツウ」その船名は瀬戸内海でとれる小さなイシガニの備後地方の方言から名づけられました。
お乗りいただくお客さまにも地元の人々にも、その小さなカニのように永く愛される存在となるように、そしてせとうちの伝統、文化、自然を豊かな滋味として味わってもらえるようにという想いが込められています。
自然と文化が重なり合い生まれるせとうちの景観
700もの島々が浮かぶ日本最大の内海、瀬戸内海。
日本初の国立公園に指定された雄大な海と多島美が続く大自然の美しさ、そこで暮らしを営む人々が育む数々の豊かな産業、その二つが合わさり独自の景観と風土を作り上げています。
陸の道が発達するより前、瀬戸内海は重要な交通路として多くの旅人と共に様々な文化が行き交いました。潮待ち、風待ちの港に集まった文化はそれぞれの地域と結びつき、様々な時代を経て今もなお紡がれています。
ガンツウはせとうちの慎ましやかな文化を繋ぎ守りながら、次の世代に受け継ぐ役割を担う船として、今日も5つの県境を悠々と超え、航海を続けています。
建築家 堀部安嗣 堀部安嗣建築設計事務所
1967年、神奈川県横浜市に生まれる。筑波大学芸術専門学群環境デザインコース卒業後、1994年に堀部安嗣建築設計事務所を設立し、2002年「牛久のギャラリー」で第18回吉岡賞、2016年「竹林寺納骨堂」で日本建築学会賞(作品)受賞。著書に『堀部安嗣作品集』、『堀部安嗣 建築を気持ちで考える』、『ガンツウ | guntû』などがある。